「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年11月18日通巻第3487号 を転載

いよいよ奥の手「地方債権」を発行して運転資金を調達へ
バブル破綻の破局を中国は回避できるか。不良債権爆発の足音が聞こえる

不動産価格四割暴落が秒読みの中国で、地方政府の財政も切迫してきた。
土地の切り売り、不動産取引の増大による歳入膨張によって強気の再投資を繰り返してきた中国だが、地方政府の財政に息切れが激しくなった。

もともと中国には固定資産税、贈与性、相続税がないから、不動産の取引が激減すれば歳入も平行して激減する(固定資産税の試験的導入は上海、重慶などごく一部で実験されているにすぎない)。

11月15日、上海市は中国で初めての地方債権を発行した。
総額71億元(邦貨換算(923億円)、利率は三年ものが3.1%、五年債が3.3%、これは中国国債の利率と同水準である。
同様に同月18日に広東省が69億元を、21日には浙江省が67億元の「省政府債」をそれぞれ発行する。12月には深せん市も独自に22億元の市債を発行する予定。

北京の中央政府がこれまで地方債権を代理発行して、調達した資金を地方政府に配分してきた。というのも、地方政府はこれまで銀行からの借り入れや独自の地方債権発行を禁じられていたからである。

ところが「産経新聞」上海支局の河崎真澄特派員に拠れば、中国33省(直轄市の北京、上海、天津、重慶を含む)の財政赤字トータルは、累積で10兆元(邦貨130兆円)、今年度九月末段階でも、すでに1兆7638元(邦貨23兆円弱)に膨らんでおり、中央政府の財政黒字分1兆2182億元(邦貨15兆円)を超える。
そのうえ、30%は確実に不良債権化すると見積もられている。

こんな債権をどの機関投資家が買うのでしょうか?

 

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