「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成23年(2011)6月13日(月曜日)通巻第3349号 を転載
江西省の自爆テロ以後、数件の爆弾テロが起きている
政府への抗議、怨念。浙江省では公害抗議、潮州では一万人のデモ
5月26日に江西省撫州市の政府ビル前でおきた自爆テロは死者三名。立ち退き強制と保証額の少なさに抗議してきた男の絶望の果ての行為だった。
以後、各地で自爆テロに近い行為が目立つが、ネットによる伝播であり、公式報道はなかった。
新華社は11日、天津でも爆破事件があったことを初めて認めた。
これは6月9日に起きた爆弾テロ事件で、天津市役所前が現場だった。目撃者が多数おり、ネット、ツイッターを通じて事件のことが流れ出した。「微簿」「QQ群組」「論壇」「博客」などだ。
ネットでつたわってしまったため共産党の報道管制は効き目がなく、新華社が追随して報道するにいたる。
ウォールストリートジャーナルは12日付けで新華社報道を大きく報道し、背後にはアラブに広がる民主化ドミノの影響と格差拡大による社会不安をあげた。同紙は浙江省でおきている鉛公害の犠牲者の抗議行動を関連で報道した。
多維新聞網によれば、ほかに爆弾テロが確認されているのは6月8日、山東省徳州市で公安ビル。同月9日には、河南省鄭州の公安ビルと湖南省来陽の公安ビルで爆発があったという。
中国のミニコミによれば、このほか広東省潮州市で一万人規模の工業労働者が不当解雇に抗議するデモを展開した。不動産暴落を前にして、社会不安が拡大している。