東北地方での放射線による「風評被害」は、水俣病の風評被害と類似している。事実に基づかない偏見が独り歩きし、苦しむ被害者や地域に更なる苦痛を与える。「水俣病問題」の教訓をいま一度確認し、冷静な正しい対応が必要だ。
水俣市の宮本勝彬市長は市のホームページに緊急メッセージを掲載し、水俣病の風評被害では経済的な損失のみならず、就職や婚約が解消されるなどの影響を受けたことに触れながら、福島の原発事故での避難生活者に対する偏見や、東北地方の物が売れない、人が来ないなどの現象をひき起こしている「風評」に警笛を鳴らす。
原発事故「偏見やめて」水俣市長がメッセージ
水俣市の宮本勝彬市長は27日、東日本大震災による原子力発電所の事故を受け、避難者への差別や偏見をやめるよう呼び掛けるメッセージを市のホームページに掲載した。
メッセージでは、公式確認から55年を迎える水俣病の経験を踏まえ「原発事故で起こっている問題は、水俣病と重なる部分が極めて多い。水俣では、水俣病被害者や市民が差別や偏見を受け、健康被害だけでなく物が売れない、人が来ないなどの影響を受けた」と指摘。
「放射線は確かに怖いが、事実に基づかない差別や非難中傷は悲しい行動だ。水俣病の経験を繰り返してはならない」として、冷静に正しい情報を共有するよう訴えている。
メッセージは日本語と英語で掲載。近く、メッセージを訴える宮本市長の動画も追加する。(辻尚宏)
水俣市からの緊急メッセージ
~水俣病公式確認から55年目を迎える水俣市からの緊急メッセージ~