不知火海沿岸から関東などに移住した水俣病不知火患者会の未認定患者が国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟は24日、東京地裁(松並重雄裁判長)で和解が成立した。同会の集団訴訟で初の和解。熊本地裁で25日、大阪地裁でも28日に和解が成立する見通し。
和解条項によると、原告194人のうち救済対象となった177人にチッソが1人当たり一時金210万円を支払い、国などが月額1万2900~1万7700円の療養手当と医療費を支給。原告側に団体加算金2億円も支払われる。
その上で、患者認定申請の取り下げなど原告・被告双方が水俣病の被害補償をめぐる紛争の終結を確約。国などが被害地域の振興や健康増進事業を実施するほか、最新の医学的知見を踏まえてメチル水銀と健康被害の関係を明らかにする調査手法の開発に努めることも盛り込んだ。
会見で、原告団長代行の松本登志男さん(64)=鹿児島県出水市出身=は「裁判は終わるが、遠隔地で被害に気付かない人は数多くいるはず。今後は支援者の1人として、そんな人たちを応援していきたい」と話した。(渡辺哲也)