今なお進行中の「水銀災害」。償いきれない問題に、社会がどう対応していくのか注視したい。

くまにちコム 2011年01月24日を転載

水俣の悲劇繰り返すな 胎児性患者坂本さん訴え

水俣病を教訓とした水銀規制条約制定に向けた国連環境計画(UNEP)の第2回政府間交渉委員会開幕を翌日に控えた23日、千葉市でNGOなどによる関連イベントがあり、水俣市の胎児性患者、坂本しのぶさん(54)が「水俣と同じことが、繰り返されないような条約にして」と訴えた。

第1回交渉委にも出席したNGO「化学物質問題市民研究会」などが水俣病の実情を伝え、実効性のある条約制定につなげてもらおうと企画。参加各国の政府、NGOの代表ら約180人が集まった。

同研究会の安間武さん(66)が「水俣病被害者の声を反映し、二度と悲劇を起こさない強い条約をつくらなければいけない」とあいさつ。坂本さんは、未認定患者が依然多く存在する現状を語り、「(公式確認から)50年以上過ぎ、水俣病は終わったと思っている人がいる。水俣病のことを忘れないで」と声を振り絞った。

環境ジャーナリストのアイリーン・美緒子・スミスさんや水俣病協働センターの谷洋一さんは、写真などを交えて水俣病患者の暮らしや原因企業チッソなどとの闘争の歴史を報告した。(原大祐)