政治は連動します。他国の遠い国の出来事だと思ったら大きな勘違いに陥ります。
かつてないほど良好な日露関係ができつつありましたが、クリミアの政変によって緊張が高まりました。日本と良好な関係を持つ中央アジア諸国の政治情勢は他人事ではなく、どのような変化をもたらそうとも柔軟に即応できるよう、関心を持ち続けなければいけません。地方政治は日本地図を見ながら、国際政治は地球儀を見ながら考えなければいけません。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年3月31日 通巻第4194号 を転載
(速報)
トルコ統一地方選、与党が大勝
エルドアン政権、大混乱の接戦予測だったが、結果は?
中東の要石、黒海と地中海を結ぶポスポラス海峡を挟んだトルコはヨーロッパとアジアを結ぶ架け橋であり、その地政学的な重要性は変わらない。第三の都市イズミールにはNATO海軍基地が置かれている。
このトルコで近年、エルドアン政権のやや強圧的な政治に対して、リベラルな主張を掲げる知識人を中心に反対派が立ち上がり、イスラム団体も一緒になって、政権の腐敗を追及し、逆転をねらう野党もキャンペーンを盛り上げてきた。
エルドアン首相は息子に指令した不正献金のカネの処理について電話を傍聴したテープをユーチューブに流されても、それは「陰謀を企む勢力に仕組まれたもの」と開き直り、逆に国家安全保障に関わるとしてツィッター、フェイスブックを一時的に中断、欧米のマスコミが強く批判してきた。
したがってイスタンブールを拠点とする欧米マスコミはエルドアン不利を予測してきた。
トルコ人口は7700万人。投票率はまだ発表されていないが、30日に行われた統一地方選挙の開票は順調にすすみ、ロイターは与党AKPが44~46%、野党CHPは23~28%と予測し、エルドアン政権が新任される結果となったと速報した。
首都アンカラとイスタンブールでは与野党接近の選挙区もあるが、大接戦による与野党乱闘で死者が出たのはシリア国境の選挙区だった。
内戦のつづくシリアの混乱で、トルコ国内にはシリア難民が100万人近くいるため、南部は治安が悪化している。
さて、この選挙はイスタンブール市長、市議会議員などを選ぶ地方選挙だが、夏に予定されている大統領選挙にエルドアンがまわるため、今回の統一地方選挙は、換言すればエルドアンへの信任投票であるともいえた。
さて選挙結果は日本にどのような影響があるか。
エルドアン首相はこの一月にも来日したが、安倍首相は13年に二回、トルコを訪問し、とくに10月の訪問では日本が支援したポスポラス海峡の海底トンネルをくぐる地下鉄路線の開通式典に列席し大歓迎を受けた。
それはともかくとして、誰がなろうともトルコと日本の友好関係には変わりはない。
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