6月に台湾軍内部の不条理さを批判した若い兵士が退役直前に虐待を受け死亡。国防相が引責辞任し、上官ら18人が起訴されたが、真相がいまだはっきりしない。

8月3日総統府前で、馬英九政権に対して、若者を中心とした抗議の座り込みデモが行われた。台湾メディアの報道では、参加者数は25万人(警察発表は11万人)。しかし日本では共同など一部のメディアしか報道しておらず、写真も配信されていない。ソーシャルネットワークなどの個人が発する情報を網羅すれば、参加者は台北のみならず台湾中部から南部にかけて、全土から集まったことが窺える。
台湾総統腑にかけた大規模な抗議デモ

台湾総統は国民投票で選ばれるが、得票数は常に接戦を呈しており、高い支持を得ているわけではない。国民党という中国人勢力に対する国民の反発は強く、台湾南部のみならず首都台北においても若年層を中心にこうした行動が活発化している。

都心での不動産の高騰が激しいが、中国人資本の流入が原因といわれる。台湾では外国人の不動産取得は禁じられているが、法をくぐりながら多くの中国人が不動産取得を行い、中国からの亡命政府である国民党はそれに対して寛容である。やがて規制緩和し、移住中国人にも選挙権をあたえて国民党を優位にするのではないかという論調が絶えない。

日台関係は、互いの先人たちの親密な関係によって、現在においても市民レベルの関係は良好であると感じられる。だが、台湾総統はアジアで最も反日思想の強い馬英九だということを、私たちは知っておかなければならない。

台湾では今までにも政府に対する大規模なデモや集会が行われてきたが、あらためて群衆の勇壮さに圧倒される。政治的危機感の表れだ。

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