今月はじまった沖縄県与那国町議会で、数十回の議長選を行いながらもその都度選出された議員が就任辞退を繰り返し、議長未決で議案審議に入れない混迷状態が続いている。

与那国町役場9月に行われた定数10議席を決める選挙結果は与党5野党5の同数。与野党同数となった状態で片方から議長を出せば対する一方が多数派になるため双方とも受け入れられない状態だ。仮に与党から議長が出れば議会の中では野党が多数を占め、いわゆるねじれ議会となる。そうした事情を背景に与野党ともに議長就任を固辞しているが、実はこれには町長の意図が大きく影響している。

現職の外間守吉(ホカマシュキチ)町長が4期目に入ったとはいえ、過去の町長選挙における得票は優劣つけがたいほど拮抗しており、安定政権とは言い難い。そして議員数は与野党同数で、与党とはいえ議長を出せば数で劣り、野党と意見が対立すれば多数決で負けることになるねじれ議会の構図だ。なんとかそれを避けるためには与党から議長を出さないという町長の思惑が強く影響してくる。

地元有力者は「こういう場合は与党から出すのが当然だが、町長の思惑で議会が機能しないならその元凶である町長をリコールして正していくしかない。議会がこのままなら町長をリコールする」という。今の議会への不満を抱えるのは与野党問わず地元有権者の共通するところだ。

有権者1329名(9月9日現在)の与那国島で町長のリコールに必要な署名はその3分の1にあたる443。住民投票で過半数を取れば町長解任となる。先の町長選で外間町長と相対した糸数候補の得票が581票。今の混迷した議会に不満を持つ島内の空気からすれば過半数は容易い数だ。

町議会は議長選出で停滞しているが、我慢しかねた島民の気持ちは今や町長のリコールへと進んでいる。

【リンク】
与那国町 HP
与那国町(wikipedia)

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八重山日報 : 混迷深める議長選出 与野党協議するも結論出ず 与那国議会
八重山毎日新聞 : 議長選44回も決まらず 与那国町議会
朝日新聞 : 議長選77回やっても決まらず 候補が次々と辞退