水俣問題は総体的には終息に向かっているように思えるが、個別の紛争に関しては今なお係争中だ。

くまにちコム 2013.01.18 より転載

最高裁で3月15日弁論 水俣病の2訴訟

水俣病の認定基準の是非をめぐる2件の行政訴訟で最高裁第三小法廷(寺田逸郎裁判長)は17日、いずれも上告審として受理する決定を出した。3月15日に弁論を開く。判決では、約40年にわたって司法の場で争われている基準の妥当性について、最高裁が最終的な判断を示すとみられる。

2件はいずれも熊本県による患者認定の義務付けを求めた訴訟。1件は水俣市の溝口秋生さん(81)が原告で、亡くなった母チエさんの認定を求める。もう1件の原告は関西訴訟で勝訴した大阪府豊中市の女性(87)で、自身の認定を求めている。

2件の訴訟は、手足先の感覚障害など複数症状の組み合わせを求めた現行の認定基準が適法かどうかが最大の争点。両訴訟の高裁判決は異なる判断を示している。この日の最高裁決定は、認定基準の要件や運用に関する法解釈を上告審の対象としており、統一した判断を示すとみられる。

溝口さんは熊本地裁で請求を棄却され、昨年2月の福岡高裁で逆転勝訴。同高裁は認定基準を「十分とは言い難い」と否定した。一方、大阪の女性は大阪地裁で勝訴したが、昨年4月の大阪高裁は基準の妥当性を認め、女性の患者認定を命じた一審判決を取り消した。2件とも二審で敗訴した側が上告した。

最高裁によると、大阪の女性らの弁論は3月15日午後1時半から、溝口さんらの弁論は同日午後3時半から開かれる。(石貫謹也、渡辺哲也)

 
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