鹿児島の内陸部でも水俣病症状 民間医師団確認
水俣病の潜在被害者掘り起こしを続ける民間医師らの「水俣病訴訟支援・公害をなくする県民会議医師団」は25日、水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済の対象外地域となっている鹿児島県伊佐市の住民らに、水俣病に特徴的な感覚障害を確認したと発表した。
2005年から今年6月末にかけて診察した同市と、隣接する同県湧水町在住の50~90代の33人について集計。うち30人に、水俣病に特徴的な感覚障害を確認した。運動失調などの所見の出現傾向も対象地域の住民データと類似していた。
同市中心部は不知火海から直線で20キロ以上離れた内陸部にある。医師団によると、受診者らは旧国鉄山野線を利用した行商人から買うなどして、不知火海の魚を食べていたと証言。山野線は1988年に廃線となった。
30人の大部分は旧大口市の住民。数人は特措法に基づく救済申請をしたが、非該当になったという。
水俣市内で会見した医師団の藤野糺医師、高岡滋医師は「汚染の広がりはまだ全容が分からず、多くの被害が埋もれている。特措法の7月末の申請締め切りは撤回すべきだ」と強調した。(辻尚宏)