「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年6月12日通巻第3680号 を転載
中国情報網とて、CIAvsFBIの対立構造に似た抗争
国家安全部から大量の機密文書が米国CIAに漏洩した情報の真意は?

中国の国家公安部(国安部)副部長の秘書が、過去五年にわたって大量の機密文書をCIAに渡していたという報道がある(博訊新聞網、6月9日)。その殆どが国家安全保障にかかわる機密文書だとされるが、どの分野のものかは判然としていない。

ネット上では、この秘書が誰かという推測情報も飛び交い、愈正声(現上海市書記)の実弟、愈強声が国家安全部外事局局長だった経歴があり、関連が噂された。中国の機密文書は中央委員クラスが閲覧できるレベルのものが副部長へ降りてくる。最高機密文書には接しられない立場であるという。

同時に、国家安全部は国際環境の激変にともなって急激に再編、組織替えされたうえに短期間で肥大化した組織だけに、人脈対立による内紛を抱えており、CIAへの機密漏洩は内部抗争の結果、相手を陥れるためのガセ情報という見方も出来る。

国家安全部(国安部)は米国でいうCIA。「安全部」は警察機構なので、両者は対立関係にあり、米国のCIAvsFBIの構造的不和に酷似する。

博訊新聞網の分析では各地の公安部は部長クラスですら豪邸を構え奢侈な生活をしており、金塊などを蓄財して各地に別荘を建てた剛の者も散見されるという。
また地方幹部の汚職も取り締まりの元締めの公安高官が腐っていれば、摘発は適当な捜査で終わりとなるのは必定だろう。

 
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