「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年4月6日通巻第3616号 を転載
湖北省の高速道路でトラックから12033発の砲弾
あの「重慶」から吉林省へ輸送途中、高速道路警察が押収した
奇々怪々。
世の中は複雑怪奇といって平沼騏一郎は嘗て内閣を放り出した。
2012年4月1日、午後11時を回っていた。
重慶から湖北省の高速道路を搬送中だったトラックが高速道路警察によって臨検を受けた。積み荷は紅色のカートンに梱包された砲弾が12033発。え、クーデターでもやらかす積もりだったのか。
運転手は「重慶の会社から請け負っただけで積み荷の中味は知らないし、吉林省まで運ぶ途中だった」と答えた。
在米華字紙は一斉に、この「事件」を大きく伝えたが、なかでも注目は「吉林省」という目的地が「大連」行きを偽装していたのではないかとする推定記事。
大連で次々と拘束されている大連実業家らが薄一家と繋がっている関係から、指摘武装のためではないかと論じる人がいる。
薄き来は大連市長を務めた。
薄き来の息子、薄瓜瓜の英国留学費用を援助した徐明(大連実業社長)は薄失脚の日に大連で拘束され、また大連大洋制服社CEOの李某女史も3月20日に逮捕されている。彼女は薄ファミリーに数千万元の「献金」をしていたという。
「もし薄き来の失脚が林彪の反乱に酷似するなら、これは1949年以来最大の政変の一つになる」(博訊新聞網、4月6日)。
蛇足ながら重慶のホテルで変死した英国人ニール・ヘイウッドは大連時代から薄一家と交際が深まったきっかけは薄瓜瓜の英語の家庭教師だったからで、その後、彼の英国留学の便宜を図ったとされるが、同時に薄一家の財産を英国へ送金する役割を担って、秘密を知りすぎたことになったのでは、とする分析がなされている。
前述博訊新聞は「ヘイウッドの暗殺司令は薄が命じた」という重慶情報も掲載している。
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