「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年12月20日通巻第3520号 を転載

広東省の陸豊市鳥炊村が「自治政府」を樹立し、共産党支配に挑戦?

毛沢東革命以前、最初のコミューンは、この地からおこった

華南の騒擾は新しい段階に突入した。
抗議集会、デモが反政府の色彩を帯び、しかも田舎町で数万の人々が参加した。
連日、暴動発祥の陸豊市を概括する仙尾市首脳らは記者会見をひらき、住民を懐柔しようとしているが、撲殺された抗議行動指導者の遺体の返還と、納得のいく説明をもとめる住民等は陸豊市政府前の広場に座り込みを続行しており、明日(21日)には大々的な抗議集会とデモを敢行する。
いま、この現場には世界中のジャーナリストが集まっている。

北朝鮮指導者の急死にマスコミの焦点が注がれているが、中国の寒村の革命志向も、大いに注目されるべきだ。

というのも、警官隊とのにらみ合いが続く広東省仙尾市陸豊市の鳥炊(ウーカン、と発音)村は共産党ルールには従わない、村独自の自治政府を樹立すると村民集会で宣言。堂々と共産党政治に立ち向かおうとしているからである。
抗議行動の指導者らは「われわれは共産党を愛している」と発言する一方で、「高度の自治」を要求しているのだから、近来、稀な政治的事件と言って良いだろう。

毛沢東革命以前、広東省から革命の松明はともされたが、最初のコンミューンの成功は、この陸豊市だった。
かれらはまた同じ道を歩み出した。

圧倒的な軍隊に蹴散らされるのが運命だろうが、この挑戦を後世の歴史家はどう位置づけるだろうか?
◎◎
(註鳥炊村の「炊」は「土」扁)。
 

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