「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年11月25日 通巻第3498号  を転載

欧州の銀行勢、アジアの金融市場から総引き上げの可能性
すでに韓国、インドネシアで貸しはがし、香港でも不動産価格が下落開始

ギリシアに端を発した「ユーロ・ドミノ」は「アラブの春」の逆ドミノ。
チュニジア、エジプト、リビアとやってきた反独裁ドミノは、つぎにイエーメンで大統領辞任がほぼ確定し、その次はシリア。アッサド独裁政権が潰えると、イランの影響をうけるシーア派が跋扈することになるだろう。
エジプト混乱の余波でガザはハマスの天下。

欧州はポルトガル、アイスランド、ギリシアときて、政権交代の嵐はスペイン、イタリアを襲い、そして次はフランスのサルコジ再選に赤信号が灯った。
金融危機で欧州の銀行勢は手元資金確保のために、貸しこんだ資金の一斉引き上げに入っているが、とくに顕著な動きは韓国、インドネシア、インド、香港に見られる。

不動産価格は、日本が経験したように担保価値が下げれば、貸し付けている企業から「追い証」をとる。つまり担保が足りないから、差額分を返却させる。支払い能力のなくなった企業は担保物件を手放す。REIT市場にでまわり、あるいは不良債権を片っ端から底値で買いあさるハゲタカ・ファンドの登場となる。

香港で、韓国で外資系ハゲタカ・ファンドが活動を活発化させている一方で、欧州の老舗名門銀行が撤収を始めた。
規模は1兆6000億ドル規模と見積もられている。
ついにユーロ危機ドミノがアジア新興国の経済を震撼させ始めた。

 

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