「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年10月14日 通巻第3450号 を転載

始まっていた企業倒産と夜逃げブーム、高利貸しのトイチは常識の温州
地下銀行猖獗、海外不動産をたたき売り。やってきた本物の不況

温州商人が香港で手持ちの不動産のたたき売りを始めた。
好ロケーションの物件、せっかく購入したビルやマンションを、換金目的のためにたたき売り、高層ビルに空室も目立つようになった。
三月、東日本大震災直前だったが、温州商人は東京で不動産即売会を開催するほどの鼻息の荒さをみせた(拙著『中国は日本人の財産を奪いつくす』(徳間書店)を参照)。

お台場や、都内の物件ばかりか、日本のそこら中で不動産買い占めに動いたのは、この悪名高き温州投機集団である。
挫折したが、仙台のチャイナタウン計画の主役も彼らだった。

あこぎな商売と派手な投機で有名な温州人を「中国のユダヤ人」と言う。ドバイでも度肝を抜くほど派手な投機行為を繰り返し、最後にはバブル破裂で数百億ドルをすったのも、温州の投機集団である。

夏頃から浙江省温州では企業の倒産が夥しく、地元の新聞も「100社が倒産し、夜逃げした」と報じた。夜逃げするのは高利貸しに手を出したからである。マフィアと組んだ高利貸しはトイチが常識、返済しないと容赦なく経営者を襲撃する。他の債務者への見せしめのため、死体を河に浮かべたりもする。

浙江省政府は「省債権をだす」といい、温州市政府も金融緩和をよびかけ、銀行に貸し出し増を要請している。

手元資金、運転資金欠乏のため高利に手を出す経営者が続出し、高利貸し、やくざがらみの地下銀行の猖獗がみられるとウォールストリートジャーナル(10月13日付け)も事態の悪化を報じている。
もはやただ事ではない。

――こんな状況下、まだ中国へ進出しようとする日本企業は、よほどの度胸があるんですねぇ。

リンク
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
宮崎正弘のホームページ

<宮崎正弘の新刊>
『中国大暴走 高速鉄道に乗ってわかった衝撃の事実』 (文藝社、1365円)
あの新幹線事故は世界に衝撃を与えたが、事故車両を埋めて証拠を隠そうと企み、遺族には未曾有の補償金を支払ってデモを封じ込め、マスコミへの登場を禁止、沈黙させた36時間後には新幹線の運転を再開した!
何でも有りの中国ですから、こんなこと日常茶飯。驚いて騒いでも始まらないのデス。
そして事故、事故処理、マスコミ操作とすりかえの対日攻撃、反日キャンペーンは定石じつは中国のやっているプロジェクトはすべて同じではないのかダム工事も、運河も。新都心建設も、不動産投機も、ハイテクも、そして軍事力増強も、みんな張り子の虎、明日、大事故がおきて三峡ダムは決壊するのではないのか。いや中国経済そのものが決壊するおそれはないのか?
中国新幹線を全部のりつくした筆者が、現場からなまなましい実相を報告する!

『中国は日本人の財産を奪いつくす!』(徳間書店、1260円)

<宮崎正弘のロングセラー>
『自壊する中国』(文藝社文庫、672円)
『震災大不況で日本に何が起こるのか』(徳間書店、1260円)
『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』(双葉社新書、880円)