「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年9月29日通巻第3435号 を転載

農民暴動は18万件を記録、その65%が農地収容をめぐるトラブル
「大連モデル」以前から法改正の混沌が、農地問題の深部に存在した

或る統計によれば、中国における昨年の暴動は18万件に達した(ウォールストリートジャーナル、2011年9月29日付けのコラム)という。
しかもその65%が農地収容をめぐる地方政府との権利問題。発火点は「公の目的のみに農地収容の権利」が認められた地方政府が、私的目的、汚職目的のために農地を強制収容後、転売する行為が絶えないからである。

1982年改正憲法で、中国では「すべての農地は国家に帰属し、土地使用権利は30年間」と決められた。
これが2007年の土地法改正により、住宅は50年、農地もそれなりの延長借用が認められるようになり、さらに翌08年からは住宅は75年、農地は50年と改正された。

また「農地収容に関しては適切な補償金を支払う義務」が謳われた。
この合法的な法改正を共産党幹部らは自己流に我流に「解釈」したために、混乱が拡大した。

一方で、大幅な借用期間の延長が、住宅建設ブーム、中間層のマンション購買意欲拡大と土地転売激増を生んだことは事実だが、同時に不法に農地を取り上げられ、雀の涙の補償金で食うにも食えない農民が大量に発生し、暴動頻発となった。

いまさら地方政府から既得権益を奪うことも出来ず中央政府中枢は、人事権を行使して地方政府幹部の更迭、人事刷新で応ずるしか手段は残されていないのである。

 
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