最近の中国の大きな変化は、市民活動によって政治が動くという、今までには考えられない現象が度々起こっていることだろう。ジャスミン革命が波及してきたのか。第二の天安門事件は絶対避けたい中共政府の次なる手は?
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23年(2011)8月2日通巻第3384号 を転載
杭州でタクシー5000台がストライキ、料金据え置きに抗議
連鎖して地方都市へ波及するか?世界の主要メディアも注目
8月1日午前、杭州の主要駅(とくに北駅、登園路、湖州路の三カ所)で空車待ちレーンが動かなくなった。タクシー運転手らが一斉に「タクシー料金が八年間据え置き。初乗り料金十元では食べていけない」と抗議の意思表示。一台も動かなくなって、付近の道路も渋滞した。
この動きはウォールストリートジャーナルも、アルジャジーラもつたえた。中国語のメディアでは在米華僑系列の新聞が報道している。
杭州は風光明媚な古都として知られ、世界から観光客が押し寄せる。
昨年は上海と新幹線も繋がった。杭州は首都になったことも歴史的には何回かあり、蒋介石の別荘もあった。
この地でおきた運送機関の同盟罷業の波は、全土に波及する可能性がある。2010年にも重慶、三亜など六、七都市で一斉にタクシーのストライキがあった。
博訊新聞網(8月2日)によれば、杭州のタクシーストライキは「食料品が11・4%、とくに豚肉が57・1%も上がり、これでは食べていけない」とするインフレが主因。
しかし政府はインフレ抑制の目玉として、ガソリン料金を据え置き、主要都市では地下鉄、バスを低料金のまま据え置き、ずばり言って公共運輸機関の赤字は鰻登りになっている。
先々週も北京で、まったくタクシーがつかまらず、「景気は良いだろう」とたまたま拾えた若い運転手に訊くと「冗談でしょ。景気は最悪ですよ」と答えて、「どうして?」と筆者。「物価があがって、こんくらいの稼ぎじゃ(生活が)追いつけない。