日本シルクロード科学倶楽部会長及び放射線防護情報センター代表を務める札幌医科大学教授・高田純博士が、4月6日から青森-仙台-福島へ向かい、福島原発事故の東日本における影響の実態を調査し、地域の人たちの相談に答えることを目的とした科学旅行を敢行した。
まず初日の札幌および青森の地表では、顕著な量の放射性セシウムは検出されなかった。
二日目は、JR青森駅前からバスで出発し、車内で線量率を計測しながら東北自動車道で仙台に向かう。途中、岩手県北上あたりから、環境放射線は若干だが上昇しはじめた。北上~仙台間の100日間線量(100日間に、その地域の人が受ける線量)は概してレベルE(安全範囲)。仙台市内の五橋公園にて調査し、線量率は毎時0.20マイクロシーベルト、100日間線量はレベルEで安全範囲。
放射性セシウムのほかに、短い半減期の核種(今のところ識別できていない)があるが、この不明核種は、短期間に消滅すると予想している。つまり、環境放射線の値は次第に低下していく。
三日目は、仙台からバスで福島市へ向かい、二本松市へ移動した。
20km圏内の浪江町から二本松市へ避難させられた人たち200人のうち、70人が太田住民センターに集まり、高田純教授の説明を聞いた後、希望者40名が甲状腺線量の検査を受けた。
全員が、喉元ではっきりとした放射性ヨウ素からと考えられる放射線が検出されたが、線量はレベルEの安全範囲であった。各被験者には、結果をすぐに紙面で伝えた。避難町民らは、ひとまずほっとした。
この結果は、予測された範囲である。チェルノブイリ事故では周辺の広範囲で甲状腺線量がレベルBを受け、4000人が甲状腺がんとなったが、福島ではこうした健康被害はないレベルの災害であることを裏づける結果である。
18:30から60分間、二本松東和小学校にて、保護者300人に対して、先の甲状腺検査の結果も含めて講演した。福島の環境放射線と健康影響の程度について、線量6段階区分の解説、チェルノブイリ事故との違いを話し、保護者からの多数の質問に答えた。