息吹き返した大動脈…東北・磐越道で規制解除、鉄道・港も急ピッチ
壊滅的ダメージで寸断されていた交通網の修復作業が急ピッチで進んでいる。東日本大震災から2週間。東北道と磐越道で実施されていた交通規制が24日、全面解除となり、物流の大動脈が息を吹き返した。鉄道、港湾も相次いで再開し、被災地の復興支援活動が本格化する。
■「人手も集まる」
11日の地震発生直後から、東北6県を走る8自動車道が終日通行止めになった高速道路。応急の復旧工事が進められ、段階的に通行規制が解除された。24日午前6時、東北道一関IC-宇都宮IC間と、磐越道津川IC-いわきJCT間の規制が解除され、東北道と磐越道は全線で一般車両の通行が可能になった。
長者原サービスエリア(宮城県大崎市)のガソリンスタンドでは、給油のため近郊の乗用車などが1キロ以上の列をつくった。同市のアルバイト、山下智美さん(19)は「サービスエリアなら優先的に供給されると聞き、開通を待ちわびていた」とうれしそう。
被災地へボランティアに行くという同県白石市の無職、村井利昭さん(61)は「復興に必要な人手も集まりやすくなるだろう」と話した。
■地元業者と提携
東日本高速道路(ネクスコ東日本)東北支社によると、最も被害が大きかったのは福島県南部。管轄する郡山管理事務所によると、管内で確認された被災カ所は約300にも上り、路肩の陥没、路面の段差、ひび割れを補修する工事は夜を徹して行われた。
東北支社の職員だけでは間に合わず、急きょ地元の舗装業者など約10社に協力を要請し、地元業者と一体となって復旧工事にあたった。業者の協力で砕石などの工事材料や機械を関東から調達することができ、工事がスムーズに進んだという。
同事務所の山田光雄工務担当課長は「余震が長引き、補修しても新たにひび割れが起きるような状態だった。地元業者の協力がなければ、これほど早く復旧できなかった」と振り返る。
■「やっと戻れる」
鉄道網と港湾も正常化に向かっている。
見合わせていた東北新幹線の盛岡-新青森間は22日、運転を再開した。同区間は被害が少なく、安全確認を終えたため、1日早い運転開始となったという。盛岡駅から新青森に向かうという50代男性は「ガソリン不足で帰れなかったが、新幹線の再開でやっと青森に戻ることができる」と安堵(あんど)の表情をみせた。
ただ、那須塩原-盛岡間は高架や架線などの損傷が激しく、運行までに「少なくとも1カ月以上かかる」(国土交通省)。
港湾も宮城県の石巻港で23日、一部復旧し、東北地方の港湾は暫定利用を含めすべての港湾が再開した。
塩釜港(同塩釜市)には民間の貨物船が同日、初めて入り支援物資を陸揚げし、八戸港(青森県)にもプロパンガスを積んだタンカーが到着するなど海上輸送も本格化している。