「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23年(2011)3月22日(火曜日)通巻第3277号を転載
イエーメン、サレハ大統領派が孤立、軍の60%は反政府側支持へ
陸軍幹部は雪崩を打って大統領からはなれ、部族長会議も流れに乗った
イエーメンでも体制崩壊がついに秒読み段階に入った。
先週の反体制派の民主化要求、大統領への抗議集会に発砲を命じた。これによりデモ隊40人が死亡し、民衆ばかりか軍のなかにも大きな反発が拡がり、陸軍の60%が、サレハ大統領支持から、反政府デモ支持へ鞍替えを表明した。
首都のサヌア市内では戦車と戦車が向き合っている。
軍内の大統領支持派と反対派が戦端をひらきそうだと「アルジャジーラ」が報じている(22日)
イエーメン軍の幹部の多くがそそくさとサレハ大統領支持をやめ、サレハ体制は一晩で孤立した模様である。
大統領の親族であるモハマド・ナセル・アリ国防相は「いかなる軍のクーデターも許さない。合法的政府を守る」と記者会見したが、もはや軍の分裂は覆い隠せない。
アリ・モハセン・サラハ陸軍推将(北西師団)、ハムード・アル・コシユビ(310旅団長、陸将)、ハムド・アリ・モヘセン(東部師団長、陸将)、ナセル・エル・ジェホニ(121旅団長、陸将)、アリ・アブドラ・アリエワ陸軍大将らが、つぎつぎと反政府デモ側を支持し、「まもなく90%の軍はサレハ大統領支持を辞めるだろう」
こうした動きはイエーメン外交筋に飛び火した。
シリア駐在イエーメン大使の辞任表明につづき、レバノン、エジプト、中国大使が辞職を表明、ついにはイエーメンを取り仕切る部増長会議のセヒク・サデク・アル・アハマル議長が「サレハよ、静かに国外へ去れ」と発言するに到った。
イェーメンで政権崩壊は秒読みになった。
民衆の指導者は「われわれはいま、軍と軍の狭間にいる」と比喩している。
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