くまにちコム 2011年03月16日を転載

県議会は2月定例会最終日の15日、裁判上の和解による水俣病未認定患者救済を求めている「水俣病不知火患者会」(大石利生会長)との和解に応じる議案3件を、全会一致で原案通り可決した。不知火患者会も21日に開く総会で、和解受け入れを決めるとみられ、2004年の関西訴訟最高裁判決を機に提起された集団訴訟は大きな節目を迎える。

蒲島郁夫知事は熊本、大阪、東京の地裁ごとの議案を追加提案し、「和解を成立させることが原告の方々の思いに応え、県としての責任を果たすことであると考える」と説明した。

ただ、和解する原告の名前や救済対象となった原告数などを議案に明記しないまま提案。異例の対応だが、県は「弁護団からの要請」として理解を求め、詳細は総会終了後に説明するとした。

議案によると、和解内容は
(1)救済対象と判定された原告へ被告チッソが一時金210万円を支払う
(2)県が療養費と療養手当を毎月支給する
(3)チッソは不知火患者会に対して計34億5千万円を支払う-など。原告は訴訟や認定申請を取り下げ、今後は提訴や自主交渉などを行わない。

最終和解協議は24日に東京地裁、25日に熊本地裁、28日に大阪地裁で開かれる。原告数は熊本2492人(うち死亡94人)、大阪307人(同1人)、東京194人(同1人)。

(亀井宏二)