日本人を劣化させたＧＨＱによる「国際平和」と「国民主権」の憲法の罠を見抜け！
ＧＨＱは、実に大きな日本への「改悪」を行ったのは、これまでも述べてきた通りである。日本が20年以上、再生できなかった理由をこのＧＨＱの改悪にあったと見抜くことが出来なければ、日本は今後も元に戻らないと私は断言する。
その最も大きな問題の一つが憲法である。戦後の日本国現憲法がもはや「役立たず」の憲法であり、改正に向けて日本人が本気で取り組まなければ、日本の経済・政治・社会は、かつての栄光を取り戻すのは永遠に不可能となるだろう。その前に最初に申し上げたいのは、「押しつけ憲法論」である。
ＧＨＱがその当時の国民の意思に反し、自分たちアングロサクソンという一民族の価値観を日本民族に押しつけたという見方は、当然だと思う。しかし問題は、いまのアメリカ人らに「アメリカが勝手に現憲法を押しつけた」というと、必ず「自分たちの問題だ。間違っているなら変えればいいだろう」という理屈で反論してくることだ。自分たちの自分たちで作る、というのは一見すると理屈に合っているように思えるが、ここに大きな落とし穴がある。それは憲法96条によって、衆参両院の3分の2の多数を集めないと、憲法は変えられないことになっているからだ。
これは日本側の当初の独自案である松本案にもなかった条文である。明らかにＧＨＱは、日本人に自らの憲法を変えられないように細工をしているのだ。
さて、日本国現憲法の最大の欠陥は、この憲法を守ると、日本人自身が普通の人間が「理性」として持ち合わせている現実と理論の整合性に関して、善悪の区別がつかなくなるという点である。憲法9条の条文がまさにそうだが、この67年間の朝鮮半島情勢を見ても、日本を取り囲む状況は、いまだに戦争が続いている環境にある。このような南北の対立を見る限り、正義と平和を基調とする国際平和を望み、永久の平和を希求するという空論的な条文から言えば、この状態こそが日本人自身が「憲法違反」となる。
一方で平和とは、現実には何者かと何者かの対立状態など、危ない状態から逃げることであり、それに近づかないことである。しかし、人間社会にはどの国も「本音」と「建前」があり、建前がそうであっても、その時の状態がそうであるとは限らない。「いじめ問題」が良い例だが、「いじめはいけない」と親や教師が叫んだとしても、いじめはなくならないのと同じことだ。
心理学者のユングは、本音と建て前の乖離がひどくなると、人間の醜い部分が、人間社会の表社会に恥ずかしげもなく出てくる」と語っている。自由・平等・博愛という建前の度が過ぎた日本国現憲法は、まさにこの状態である。戦後、ＧＨＱによって「理想の国家」を作ったはずの日本では、なぜ20年以上も年間300万人近い自殺者が出るのか。
この20年以内にも、オウム真理教事件や神戸の少年殺傷事件、秋葉原連続殺傷事件などの悲惨な事件は、なぜ起こり続けるのか。日本人はなぜこの状態を「現憲法に欠陥がある」という思考が出来ないのか。
はっきり言おう。いまの日本国憲法は、「天下の悪法」である。例えば、憲法には「国民主権」が謳われている。民主党もこの「国民主権」という言葉に踊らされ、数々の「改悪」を行った。しかし、ＧＨＱの作った日本国憲法の姿に近づこうとした民主党が、「良い政治」を行ったのだろうか。完全に否である。
実は、先進諸国の中で「国民主権」を明文化している国は、日本以外のどこにもない。
この条文こそ、日本人を著しく劣化させ、「いつまで経っても決められない政治」を定着させようとするＧＨＱの深慮遠謀があったのである。（以下次号）
