チッソの公的債務、13年ぶり2千億円超に
水俣病の原因企業チッソ(東京)に対し、患者補償などのために国と県が貸し付けた公的債務の残高(将来の利子分含む未償還額)が2012年3月末で2112億6400万円に達し、13年ぶりに2千億円を超えたことが22日、県のまとめで分かった。
10年5月の水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済策の実施に伴い、一時金支払いの原資を再び国、県が貸し付けることになったため。以降の貸し付けは今年4月までの8回実施され、総額は591億円に上る。
12年度も救済申請は相次いでおり、さらに膨らむ見通し。貸し付け条件は年利1・3~1・5%の30年返済。当初5年は返済を猶予するため、返済開始は15年秋以降となる。
救済策実施前、当時の小沢鋭仁環境相は国が貸し付けた分の返済は免除しない考えを示していた。チッソ総務部は「かなり大きな負担になるが、今は約束通り返済するとしか言えない」としている。
チッソの公的債務残高は1999年3月末の2308億円がピーク。国、県、金融機関は2000年2月、抜本的な金融支援策を策定。国が95年の政府解決策に基づいてチッソに貸し付けた303億円の返済を免除したことから、2000年3月末には1611億円まで減った。
その後も年間数億円から数十億円ずつ減少していたが、未認定患者救済策の実施に伴って増加に転じた。将来の利子分を除いた債務残高は1837億2500万円。(亀井宏二)