限りある時間と気力だけで被害を訴える市民に対し、継続的に権限を誇る公共機関の「県」。
80歳になる溝口秋生さんが母の水俣病認定を県に求めた裁判で、福岡高裁は熊本県に対して故溝口チエさんへの水俣病認定を義務付ける判決を下した。それに対して県は国と協議するといい、国は県から相談があれば応じるという、露骨なたらいまわしをした。
5日、県庁内で「上告はしないで母の水俣病を認めてください」という溝口秋生さんに対し、県知事は非公開で話し合った。
なぜ非公開なのか、伏せられた30分を公開してほしい。

くまにちコム 2012年03月05日 を転載

知事、上告判断「国と協議」 水俣病溝口訴訟

亡くなった母親の水俣病認定を熊本県に求めた訴訟の控訴審で逆転勝訴した溝口秋生さん(80)=水俣市=が5日、蒲島郁夫知事と県庁で面会した。上告断念を要請する溝口さん側に対し、知事は「環境省や法務省と協議した上で決める」と答えるにとどまった。

面会の冒頭、知事は「長年ご心労をおかけしており、申し訳ありません」と謝罪。溝口さんは「控訴審判決のように、母を水俣病と認めてください」と求めた。その後は「率直な意見交換をしたい」という県側の要請で非公開となり、約30分あった。

知事は、国との協議の必要性について「水俣病の認定制度の根幹にかかわるため」と説明。12日の上告期限が迫る中、「決断の重みをひしひしと感じている」と語ったという。

終了後、溝口さんは「国と協議をしても良い結果にはならないと思う」と語った。知事は面会について「(決断の判断材料として)とても大きな参考になると思う」と語った。

2月27日の福岡高裁判決後、溝口さんらは県庁を訪れ、知事との面会を求めたが、知事は自らの政治資金パーティーを優先。溝口さん側が後日の面会を求めていた。(石貫謹也、亀井宏二)

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