近年著しく変化する台湾。水面下では中国傾斜を危惧する人たちがいたが、今では露骨に表面化している。
私も「台湾大劫難」の日本語訳「暴かれた中国の極秘戦略―2012年」を読んだが、その内容に違和感が絶えず、先月作者である袁 紅冰氏の講演を聞いてきた。その人となりが気になったのだ。数年前に共産党内で話し合われたことと現状がかなり重なって見えるが、その決定に至るにあたっての台湾人に対する理解は浅く、一方的な思い込みを強く感じた。にも拘らず本に書かれたようになっている。そこに違和感があるのは、あくまでも私の個人的な感想である。
そこで、時局心話会・山本善心代表の意見を紹介する
山本善心の週刊「木曜コラム」
日本を取り巻く国際情勢 第305号 2010年11月18日発行を転載
今年に入って台湾を取り巻く政治環境の変化が著しい。
日台関係はこれまでのような友好関係から中国と同じ反日関係に様変わりしつつある。馬英九政権は、表向きは親日的な発言やポーズを見せ始めているが、実質的には反日姿勢の正体を暴露しつつある。たとえば、最近、台北駐日経済文化代表処に対する評判がすこぶる悪い。馮寄台代表の対日方針は親台湾派との関係を切り捨て始めたとの話題で持ちきりだ。
つまり、これまで日台関係に深い関わりを持ってきた人たちとの関係断絶だ。馮代表に会見を申し込んでも、ほんの一握りの者以外は、ほとんどが断られているようだ。これまで日台間で築かれた慣習やルールを打ち破り、一方的に親台湾派との関係を断ち切るもので、特に今年に入って顕著である。民主党議員らも駐日代表処の変わりように驚きを隠せない。
これまで歴代の台湾駐日代表が就任すると、まずわが国の親台湾派議員や民間団体など人間関係の継続が大きな仕事であった。しかし、もうそんな必要はないとの方針転換が露骨だ。ある台湾関係筋によると、馮代表は民進党や李登輝関係の団体関係者らのパーティにも出席せず、それどころか彼らと代表処との関係断絶を強化し始めていると聞く。