くまにちコム 2011年12月27日を転載

新たなセシウム除去技術を開発 チッソ事業会社

チッソ(東京)の事業会社JNCは26日、化学反応と磁石の原理を利用し、海水から放射性セシウムを除去・回収する技術開発に実験室レベルで成功したと発表した。同社は東京電力福島第1原発事故による汚染水浄化にも応用できるとみており、来年1月の実用化を目指す。

同社の技術は、セシウムを含んだ汚染水に塩化鉄やアルカリ水溶液などを加えて反応させ、磁性を持つセシウム結合体に変えた後、磁石で分離させて除去・回収する。

現在、福島第1原発の汚染水処理は、鉱物のゼオライトにセシウムを吸着させる装置を使っている。磁気分離法を使えば、処理時間が大幅に短縮され、放射性廃棄物の量も減らすことができるという。研究では、セシウム濃度10ppmの汚染水20リットルを処理した際の回収物は0・1リットルに収まり、99・5%のセシウムが除去されたという。

同社総務部は「今後、福島第1原発事故で発生した規模の大量の汚染水を処理する技術の確立を急ぎたい」としている。

放射性セシウムの除去技術については、国内の大学や企業で微生物や磁性微粒子を使った研究も進んでいる。
(渡辺哲也)

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