東日本大震災における原発事故や政府の対応による深刻な「風評被害」。水俣病問題の教訓を、風化させることなく今ある問題に照らし合わせながら、生かしていくべきだ。政争に明け暮れるなかで、被害をこうむるのは弱者である被災者だ。
水俣病特措法のあり方議論 東京で日弁連シンポ
水俣病未認定患者の救済と原因企業チッソの分社化を規定した水俣病特別措置法のあり方を考えるシンポジウムが4日、東京都内であり、研究者らが残された課題を議論した。
日弁連主催で約120人が参加。特別講演で、被害者を長年診察してきた熊本市の原田正純医師が「特措法の救済対象は感覚障害が前提だが、胎児性・小児性患者は感覚障害がないケースがあり、国も認めている。胎児性の研究はまだ不十分で特措法は矛盾を抱えている」と訴えた。
パネル討論では、加害者責任についても議論。元滋賀大学長の宮本憲一氏は「特措法はチッソが補償できなくなった時に国が最終責任を取るようになっておらず、極めてあいまいだ」と問題提起した。
チッソ分社化を批判する日弁連の鈴木堯博弁護士は「被害の全容解明なしに分社化が完了しないよう厳しく監視していく」と指摘。高峰武・熊日論説委員長は「チッソは新会社で負の遺産を教訓とする生き方もある。加害者としてどれだけ主体的に『水俣』を背負うかが問われている」と述べた。(渡辺哲也)
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