昨年末の台湾五大都市首長選挙では、議席は国民党3、民進党2、という従来と変わらぬ結果だが、得票総数は民進党の票が多かった。台北市、新北市、台中市は国民党の首長だが、いずれも接戦であった。一方、高雄市、台南市では民進党候補が国民党候補を大きく引き離して当選した。
総じて、「次期総統選挙では民進党有利」という評価が多かったが、国を挙げての大規模な選挙とはいえ地方の首長を選ぶローカル選挙であったことを冷静に考えれば、民進党も楽観的にはなれないはずだ。世論調査においても優劣のない状態である。
政府は、来年4月の総統選挙を前倒しして、1月の国会議員選挙と同時にすると発表した。理由は、国政選挙と総統選挙が続けば膨大な経費が掛かるので、経費節減のためだという。国民党の苦肉の策なのだろう。国家の代表者を選出する重大な選挙だ、いくら経費をかけてもいいのではないか。
国会議員選挙では、過去の実績や長年各地域に根付いている国民党候補が有利だろう。その候補者がそろって「今まで以上に皆さんに貢献するためには国民党でなければ実現できません」などと有権者に訴えれば、同日の総統選挙なら馬英九が有利だろう。
かつて民進党の陳水扁総統下では、米国政府が台湾にP3C哨戒機を譲渡することを提案し、陳総統はそれを受け入れる方針を打ち出した。中国の脅威の中で、国防のためには近海の潜水艦を監視する必要があった。だが、国会議員のほとんどが国民党であったために、陳総統の方針に対して予算を通さず、国防対策費さえも捻出できなかったことがある。
こうした「ねじれ」を生まないためにも、同日選挙は効果的かもしれない。民進党の総統を支持するなら国会議員も民進党でなければ意味がないのだ。
馬総統と蔡主席、支持率ほぼ互角台湾メディア世論調査
来年1月の台湾総統選の候補者に27日決まったばかりの与党国民党の馬英九総統と、野党民主進歩党(民進党)の蔡英文主席について、台湾の主要メディアは28日、支持率は両者ほぼ互角とする世論調査の結果を発表した。
聯合報は「明日投票ならどちらを選ぶ」との質問、37%が蔡主席、36%が馬総統だった。中国時報の調査では、蔡主席33・4%、馬総統33%。有力テレビTVBSの調査(27日夜発表)では、馬総統43%に対し蔡主席は42%。
聯合報の調査によると、対中国政策や経済振興策では馬総統への信頼が高かったが、政策全般の決断力では蔡主席の方が高い評価を得た。(共同)