くまにちコム 2011年01月18日から転載

国連「水銀条約」千葉で交渉へ 水俣病を教訓に

水俣病を教訓として2013年に「法的拘束力のある水銀規制条約」制定に向けた国連環境計画(UNEP)の第2回政府間交渉委員会が、22日の関連会合を皮切りに、24日から千葉市の幕張メッセ国際会議場で始まる。

交渉委では、国連が昨年各国に提示した水銀を包括規制する条文案骨子をたたき台に、規制の掛け方や強弱をめぐり、先進国、途上国、NGO間で激しい議論が展開されそう。

国連は、第2回交渉を世界最悪のメチル水銀中毒・水俣病を経験した日本で開くことで各国の認識を深めたい考え。交渉は28日までの5日間で、約130カ国から500人が参加を予定している。

条文案骨子では、地球規模の汚染拡大と健康被害防止のため、水銀を排出元から断つ対応を要請。(1)水銀の採掘、供給、貿易(2)工業製品への使用(3)環境中への排出-の三方から規制を掛け、鉱山の閉山や年次を切った削減、行動計画提出などを盛り込んでいる。

交渉では厳しい規制を求める欧米先進国、柔軟な規制と財政支援を求める新興国、アジア約50カ国をまとめる日本の対応が焦点。

日本は水俣病の発生で水銀削減を進め、1974年には水銀鉱山も閉山した。だが、水俣病経験国ながら、国内回収の水銀を年150トン前後も途上国に輸出。公害の間接輸出と批判を受けている。アジアでの輸出国は日本とキルギスタンのみ。輸出禁止と国内貯蔵が大きな課題となる。

第1回のストックホルム交渉で日本は条約の採択・署名会議の日本招致と「水俣条約」との命名を提案した。今回は蒲島郁夫知事、宮本勝彬水俣市長も参加し、県内招致をアピールする。

(井芹道一)

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