くまにちコム トップ > 熊本のニュース >
出生年線引き「根拠ない」 水俣病集会で藤野氏
を転載

出生年線引き「根拠ない」 水俣病集会で藤野氏2011年01月09日

水俣病事件研究交流集会が8日、水俣市公民館で始まり、水俣協立病院(同市)の藤野糺名誉院長が、水俣病特別措置法による未認定患者救済の対象年代について、データを示した上で「医学的根拠はない」と指摘した。

特措法は原因企業チッソが汚染物質の排出を1968年5月に停止したことを踏まえ、69年11月までの出生者を救済対象とする。

この線引きを疑問視する藤野院長は、同病院などの受診者のうち68年5月~69年11月の出生者54人をA群、69年12月以降出生の63人をB群として比較調査した。

その結果、手足の先ほどひどい感覚障害が認められた割合はA群が78%とB群の60%を上回ったものの、全身性の感覚障害はA群22%に対しB群が24%、口周囲の感覚障害もA群が15%だったがB群は33%と逆転した。

藤野院長は感覚障害を認めた中に、80年代生まれの人もいたと説明。「汚染がいつまで続いたのか確かめるためにも不知火海沿岸での実態調査が必要」と訴えた。

このほか、関西訴訟で勝訴後、患者に認定されながらチッソから補償を拒まれている被害者の支援者や弁護団らが課題を報告した。

集会は熊本学園大の研究者の提唱で始まり今年で6回目。最終日の9日はチッソ分社化に関する報告などがある。(石貫謹也)