支那による領海侵犯は日ごとエスカレートしているが、国内の深刻な状況から目を逸らすためなのか。ならば今後は更に活発化してくるだろう。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年8月12日 通巻第3999号
尖閣で騒いでいる場合か、習近平政権は危機水域
頻発する新型のテロは憤慨する民衆の反政府抗議の手だて
新型のテロが中国国内でますます活発化している。
7月7日、厦門で走行中の公共バスにガソリンをまいて放火し、乗客ら50名が死傷した。大事件となったが、当局はマスコミ報道を抑えた。犯人は陳水総という農民で、農地問題で不満を爆発させたといわれる。
7月12日、北京市朝暘区で「精神異常者」がナイフを振り回し、米国籍女性を含む二人を殺傷する事件が起きた。
7月20日、北京空港で、政府の無策に抗議して身体障害者が爆発物に引火する爆破テロが起きた。広東省出身の犯人は八年間、自動車免許の申請を理由なく断られつづけ、思いあまっての自爆テロに走った。
7月22日、北京市内カルフール(フランス系スーパー)にナイフを持った男が乱入し、買い物客多数を刺した。無差別殺人の動機も政府の無策への抗議である。先年、江西省では政府ビルに爆発物をもってバイクで乗り付けた農民が玄関ロビィで自爆テロ、自らを含む四名が死んだ。無理矢理の農地買収への抗議だった。
こうして軍人OBや警察関係とは別に、庶民が新型のテロを展開し始めている。しかもネット上では、これらの犯人は「英雄」視されている。
数年前も上海の警察署に侵入して警察官六人を刺殺した若者を英雄視する投書が延々と続いたものだった。
盲目の人権活動家、陳光誠の弁護士として知られ、また中国の法治、人権を要求する知識人の「公盟」のメンバーでもある著名な法律家、許志永が理由も曖昧なまま、当局に拘束され、同時に15名のメンバーが拘束された。
許志永は共産党幹部の資産公開を要求して活動してきた。米国は中国に対して、この許志永の釈放を要求した。こんなおりに日本で北京政府の代弁者として知られる朱建栄が中国国内で「行方不明」に鳴っていることも判明している。
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