「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年7月31日 通巻第3993号

安倍政権の長期展望が生まれたので在日華字紙も論調が変わった
文ワイ報は「両院を抑えた安倍の強勢、長期政権が展望」と書いた

直近の中国語メディア、とりわけ在日の華字紙がいかなる姿勢で日本のことを報じているか、最新報告。

『文ワイ報』は香港の有力紙。その日本版は半月刊ででている「半月文摘」(タブロイド版)。最新7月24日号は「安倍強勢控制日本両院、有望長期執政」とし、「安倍首相は日中首脳会談の開催に同意しており、外務省高官を派遣する」と書いている。
同誌はこのところ、反日のトーンをいささか和らげており、同誌広告欄をながめると北京政府が発禁としている「危険な書籍」の日本に於ける販売店が一覧されている。なかには『中国総理家族財富』とか、『習近平的底線』など、読みたい本がずらり並んでいる。

『聞声報』(7月16日号)は「ロサンゼルスの慰安婦記念碑に在留邦人がつよく抗議」というニュースをカバーしたりし、また同時に「優秀な外国人技術者確保のため、日本はヴィザ条件をさらに緩和」という記事も掲載されている。

政治色の薄い実利的メディアの『陽光導報』は7月25日号で「安倍大勝日籍華人投票率低」とやぶにらみの痛罵ぶりだ。
「在日華人で安倍に投票した人は少ない」という意味だが、だからどうなのか。それより同誌にとっての問題は「投資移民が過去4年で十倍」という中国の難題を追求している。2007年に僅か270名の投資移民だったが、いまやその数は十倍。行き先は米国が40%、カナダが37%、シンガポール14%、EU諸国11%ほか、となっていると具体的数字をあげて憂慮を示している。

反日姿勢がもっとも過激なネット世代の新聞は『週刊網博』で、いつものようにパラノイア中華思想をばらまき、ウルトラ中華軍国主義を鼓吹している。
その7月26日号では「安倍政権の憲法改正で日本は戦争をいつでも可能にする」と現実離れのセンセーショナリズムである(「安倍修憲、又近一歩――中日戦争爆発在即」)。
同誌は「日本のNGO団体が憲法改正に反対している」と左翼のミニ団体の動きをこまめに拾っている。

他方、日本に理解をしめしつつ中国共産党に批判的なのは『大紀元新聞』と『看中国』。とりわけ後者は中国の実像、実態をえぐる特色があり、中国の富裕層が不動産買い、海外資産投資の実態をレポートするほか文藝面では方励之伝記が連載されている。
『大紀元』はもっとも激越な中国政府批判だが、このメディアは法輪功系なので、共産党の分析は割り引いて読む必要があるだろう。

 


 

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