不知火海沿岸から関東などに移住した水俣病不知火患者会の未認定患者が国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟が東京地裁で和解成立したのは今年3月下旬のことだ。今回の国と県によるチッソへの貸付金はその賠償に充てられる。和解成立から資金調達の見込みに至るまで半年を要した。現状は「見通し」がたったということであり、具体的に被害者に支払われる時期は未定である。

東日本大震災の対応もあるが、この和解は震災後のことであり、そこに至るまでには長い年月をついやしてきた。半世紀にも及んだ問題だけに、半年ぐらいのことと思いがちだが、賠償を前提にした和解でありながらこの対応は遅すぎる。

くまにちコム 2011年10月08日 を転載

チッソに108億円貸し付け水俣病で国と県

水俣病未認定患者救済の一時金支払いのため、国と県は7日、原因企業チッソに対し総額108億8430万円を貸し付けることを決めた。11月にも、水俣・芦北地域振興財団を通してチッソに貸し付ける見通し。

水俣病特別措置法に基づく措置。85%(約92億5千万円)は、国が2011年度一般会計の予備費から支出。残り15%(約16億3千万円)は、国の財政融資資金を引き受け手に県が県債を発行し賄う。

この日は、政府が予備費支出を閣議決定。県議会も、予備費の交付を受けて支出する一般会計補正予算案と、県債発行を盛り込んだ特別会計補正予算案を可決した。

特措法に基づくチッソへの貸し付け累計額は約630億円に上る。一時金(1人210万円)と被害者団体への加算金(計61億円)支払いの原資となり、対象者約2万7000人分に相当する。

8月末の救済申請者数(手帳切り替えを除く)は、熊本、鹿児島、新潟の3県で3万32人(うち熊本は1万6757人)。

細野豪志環境相は閣議後会見で「予想を超える方が手を挙げたことは積極的に受け止めている」と言及。救済制度の申請期限については「悩ましい問題。年内の受け付け状況、件数などを見た上でいつまでの期間とするか考えたい」と述べた。(潮崎知博、原大祐)