「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成23年(2011)6月9日(木曜日)通巻第3346号 を転載
ラガルド(仏蔵相)はIMF専務理事へ最有力候補。世界を行脚中、北京で座礁
中国は熱烈歓迎のふりをして、IMF専務理事への支持を留保した
ラガルド(仏蔵相)は、ストラス・カーン専務理事のセックススキャンダルによる失脚を受け、次期IMF専務理事レースで欧米の支持をとりつけ、疑いもなくトップを走る。
しかし支持率は50%強と言われ、新興国の票をまとめきれず、先週ブラジル入りをきっかけに、インドを訪問し、精力的な票固めに動いた。
彼女はインドで首相、財務相と会談し、すでに支持を取り付けている。
8日、ラガルドは北京へ入った。
周小川・中央銀行総裁、楊潔ち外相、王岐山副首相という経済外交の大物三人衆が、彼女を出迎えて昼飯、「中国は公平と透明性をもとめ、IMFに今後も貢献する」などと平然とうそぶき、他方、ラガルドを支持するとは一言も言わなかった。
ラガルドは債務危機爆発のポルトガルへ北京で記者会見後に飛び、週末はサウジアラビア、エジプトを訪問して基礎票の上乗せをはかる旅程。
さて留意されたい。
ラガルドは米国債1兆ドルを抱え、人民元不正操作を糾弾されている北京へ赴いたが、通貨操作の不正を糾弾どころか言及もせず、ひたすら顔色をうかがったのだ。
そして、世界行脚をつづけながらも、IMF第弐位の出資国でもある日本には立ち寄ろうともしなかったことを。
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