「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年8月6日 通巻第3716号 を転載

ザンビアの炭坑(中国人経営)で暴動、中国人マネジャーを殺害
最低賃金は230ドル、しかし中国は150ドルしか支払わず利益独占

ザンビアの首都ルサカから、南へ320キロ。ここに年間12万トンの石炭、銅、少量のコバルトを生産する「コルム鉱区」がある。戦略物資として貴重なレアメタルはコバルトである。おそらく中国の狙いは銅に付随するコバルトの寡占にあるのだろう。

中国はザンビアだけでも、これまでに鉱区開発などで20億ドルを投じた。ザンビアにとって中国は大切な国である。

しかし同時に「アフリカ重視」の中国外交の波に乗って、資源鉱区ならびに農地を片っ端から購入してきた中国と、マナーと文化の差異から、やってきた中国人経営者への反感が著しく高まり、ザンビアのみならずアンゴラ、スーダン、ジンバブエあたりからも反中国暴動の報道がなされる。

8月4日、賃上げをもとめた炭鉱労働者が暴動を引き起こし、中国人マネジャーをトロッコで轢き殺した。ほかに三人が重傷を負った。このためザンビア政府は労働副大臣を現地に派遣し、調査を開始した。
もともと、このコルム鉱区では、中国の経営方針に批判的な労働者がたびたび暴動を引き起こしており、2010年にも発砲騒ぎで十数名が負傷した。

現在のザンビア大統領ミカエル・サタは、「中国の新植民地主義に反対」「中国資本をたたき出せ」「これでは奴隷労働だ」と訴えて昨年、当選したばかり。ザンビア政府と北京とは対立関係にあった。

サタ政権は「最低賃金法」を制定し、月給を150ドルから230ドルにするとしてきたが、中国経営の炭鉱ではまだ適用されていなかった。

 
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