水俣病救済の説明会終了 90回に7千人超参加
水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済策を周知するため、熊本県などが開いてきた説明会(相談会含む)が3日、福岡会場を最後に終了した。
2010年5月の救済手続き開始以降、熊本県が集約した参加者数は7千人以上となった。特措法の申請期限の7月末まで約2カ月。行政側は周知活動を継続するとしているが、被害者団体には説明会終了を批判する声もある。
特措法の説明会は、1995年の政府解決策で救済策の周知不足が指摘された反省から始まった。県内会場は県と地元自治体が連携して開催。県外会場は環境省と熊本、鹿児島両県が開いてきた。
説明会開催は、県内外を合わせて10年度47回、11年度31回、12年度12回の計90回。開催場所は水俣市(24回)や芦北町(11回)などが多かった。一方、天草市で開いた15回のうち救済対象外の地域は6回、同様に上天草市は8回のうち1回にとどまった。
参加者は10年度約5500人、11年度1310人、12年度394人で計約7200人。県水俣病保健課は「来場者の家族や知人への広がりも考えると、一定の周知効果はあったと言える」と総括する。
3日、最後の説明会となった福岡市博多区の会場には22人が訪れた。熊本、鹿児島両県と環境省の担当者が給付内容や申請手続きの方法を説明、「7月末を過ぎると申請できなくなる。必ず期限までに申請を」と呼び掛けた。鹿児島県出水市出身で、長崎市から訪れた女性(53)は「救済対象に当てはまりそうなので、これから手続きしたい」と話した。
鹿児島県によると、同県内では29回の説明会があり、計2224人が参加した。
熊本県は今後、テレビCMなどで救済策の周知を継続、電話などによる個別の問い合わせも従来通り応じる。
一方、天草中心に、潜在患者掘り起こしを進めてきた水俣病不知火患者会事務局は「対象地域と対象外地域では、説明会の開催回数すら差があった。これで特措法が掲げる『あたう(可能な)限りの救済』は実現できるのか」と話している。(石貫謹也、辻尚宏)