中国人船長は「起訴相当」尖閣事件で那覇検察審査会
昨年9月に起きた沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、那覇検察審査会は18日、公務執行妨害容疑で逮捕されながら不起訴処分(起訴猶予)となった中国人船長を「起訴相当」とする議決をした。那覇地検が再捜査に入るが、船長はすでに国外に出ていることもあり、再び不起訴になる可能性が高そうだ。
審査会は議決文で「民意を表明する」と宣言し、海上保安庁の巡視船「みずき」への衝突について「損傷は軽微とはいえない」「人命を危険にさらす行為だった」と悪質性を強調。船長が謝罪や被害弁償をしていないことにもふれ、「容疑者を処分保留で釈放しながら、帰国したので起訴できないとするのは納得できない」と訴えた。
また、「付言」の中で「我が国領海の警備の実情を国民に知らしめるためにも、(政府が持つ衝突場面の)ビデオ公開を希望する」と政府に注文。「日中友好の課題もあるが、外交関係のけじめをつけるため」と起訴相当に至った理由を述べた。
議決を受けて再捜査した地検が再び不起訴にすると、検察審査会は2度目の審査に入る。2009年5月に施行された改正検察審査会法では、2度目の審査で改めて「起訴すべきだ」との議決(起訴議決)が出れば、容疑者は強制的に起訴される仕組みだ。ただ、今回は容疑者が国内にいないため、実際に起訴できるかどうかは不透明だ。中国が身柄を日本に渡す可能性も低いとみられる。
那覇地検は今年1月、処分保留で釈放後、帰国していた船長を不起訴処分にした。明白な衝突の故意が裏付けられなかったことやけが人がなかったこと、船長が帰国したことなどを考慮した。これに対し、船長を刑事告発していたジャーナリストの山際澄夫氏ら5人が審査を申し立てていた。