毎日新聞 3月7日(月)を転載
「川口自主夜間中学」でボランティア ドキュメンタリー、都内で先月初上映
学齢期に就学機会を失った人や日本語が不自由な外国人たちが学ぶ「川口自主夜間中学」で、ボランティアとして働く中国人女性を追った映画「日本憧憬(しょうけい)」が完成した。日本映画学校(川崎市)の生徒3人が卒業制作として手がけた45分間のドキュメンタリー。2月、都内で開催された「卒業制作上映会」で初上映された。
企画作りが始まったのは昨年1月。ネット検索で「夜間中学ってどんなところだろう」と関心を持った、映像ジャーナルコースを専攻する星野基樹さん(25)が監督、今野博紀さん(22)がプロデューサー、田崎絵美さん(23)がカメラマンとしてチームを組んだ。
夜間中学の授業はJR川口駅近くの2カ所で、毎週火、金曜日の夜2時間。中国、ベトナムなど外国人を中心に約60人が学ぶ。元教師ら約30人がボランティアで教える。
星野さんらは半年間、カメラなどの器材は持ち込まずに夜間中学に通った。生徒らの自然な姿を撮影するため、日本語を教えながら徐々に親しくなった。昨年8月から本格的にカメラを回し始めた。撮影時間は半年間で70時間を超えた。
撮影を続けるうち、13年前に来日して夜間中学で学んだ後、現在は同じ中国人に日本語を教える李潤清さん(48)を主役に決めた。IT関連の会社を経営する李さんを中心に、豊かさを求めて来日した中国人らが学び合い、助け合いながら生活する姿を追った。
星野さんは「なかなか思うようなストーリーができず苦労した。でも一生懸命に生きる姿は伝えられた」と話した。李さんは「映画を多くの人に見てもらい、大事な存在である夜間中学を理解してもらえれば」と語った。【鴇沢哲雄】