水俣病問題の解決に向けた前進なのか、新たな火種になるのか、引き続き注視したい。
チッソ新会社JNCへの事業譲渡許可 大阪地裁
水俣病の原因企業チッソは8日、水俣病特別措置法に基づき100%子会社「JNC株式会社」に事業を譲渡することを、大阪地裁から許可された。3月31日に事業や土地、建物などの資産を譲渡し、4月1日からJNCの営業が開始される見通し。
チッソは1月12日にJNCを設立。同14日に事業譲渡許可を同地裁に申請していた。特措法は、チッソの事業再編(分社化)による子会社への事業譲渡について、株主総会の決議を経なくても裁判所の許可で代替できると定めている。
分社化は、現チッソを親会社チッソと事業会社JNCに分離。チッソは持ち株会社となり、JNCからの株式配当で患者補償などを担う。JNCは、チッソと同じ東京・大手町のビル内に本社を置き、チッソの後藤舜吉会長と岡田俊一社長が代表取締役を務める。
事業譲渡とともに、チッソの従業員約810人のうち約700人をJNCに異動。総務や人事など管理部門の約110人はチッソに残す。
分社化は、将来的にチッソが保有するJNCの株式を売却した利益によって、患者補償や公的債務返済を完遂する計画。被害者からは、売却後にチッソが清算され、原因者責任が消滅することへの、懸念の声も上がっている。(潮崎知博)