日本の漁船を追尾する中国の公船

日本の漁船を追尾する中国の公船


4月22日午後10時ごろ、沖縄県石垣市新川漁港から、「漁業体験ツアー」の参加者約80名が尖閣諸島方面に向けて出港した。主催は「頑張れ日本!全国行動委員会」(代表・田母神俊雄)で、この漁業体験ツアーは今回で13回目となる。

当日夕方に水島幹事長が説明会を行い、「尖閣諸島に近づいても絶対船から下りてはならず、島への上陸はしないでほしい。あくまでも漁業体験ということです。」「すべては船長の指示に従って行動する。万一、中国の公船に止められそうになったら逃げること。臨検されることは、相手がこの領海で国家権力を行使した事実を作ってしまう。」
など、注意事項を伝えた。

魚釣島と海上警備艇。上陸しないように電光掲示板で警告を発する。

魚釣島と海上警備艇。上陸しないように電光掲示板で警告を発する。


一行は翌朝6時半ごろ尖閣諸島近辺の領海に到着したが、その際海上保安庁の警備艇では「尖閣諸島への上陸は政府により禁止されているので、上陸しないように」と電光掲示板に緑色の文字が繰り返し映し出されていた。


午前8時過ぎには、領海侵犯した中国の公船によって漁業船団が追尾されはじめた。
この団体漁業活動を事前に把握していた中国当局は、それにあわせて約8艘の公船を領海侵犯させていた。日本の海上警備艇が中国公船に対して「領海から速やかに退去するように」と警告を発したが、「我々の領海の警備に当たっている」と応答するのみだった。

海上警備艇は日本の漁船を警備するように走行しながら、「中国の公船が数隻領海内にいるので、全速力で走行してください」と電光掲示板で文字を流した。

午後3時ごろを先頭に、夕方にかけて全漁船は新川漁港に到着した。

この日のテレビニュースなどでも、この領海侵犯によって漁業活動が妨害されたことが報じられ、国会でも尖閣を含む領土問題が論じられた。
漁業団は海上警備艇の指示通り尖閣諸島近辺から退去したが、元来退去すべきは領海侵犯した中国公船だ。海上警備艇による国境警備は困難の中でも最善を尽くしているが、法や体制の縛りでこれ以上のことができないという厳しい状況にある。もっとも危険なのは海上警備艇なのだ。
国境警備にふさわしい法体制と武装、権限をもたせなければ、領土領海はおろか漁師の漁業活動さえも守れない。

水島幹事長が帰港した人たちに、船上では知り得なかった中国の動きやメディア報道などを説明した。

水島幹事長が帰港した人たちに、船上では知り得なかった中国の動きやメディア報道などを説明した。


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