くまにちコム 2012年07月18日 を転載

対象外地域の88%に感覚障害 水俣病一斉検診

不知火海沿岸で6月に水俣病一斉検診を実施した住民健康調査実行委員会(委員長・藤野糺水俣協立病院名誉院長)は18日、最終集計結果を公表。水俣病特別措置法の救済対象外地域に住む受診者の88%に、水俣病と診断できる手足先の感覚障害があり、救済要件を満たしていたことを明らかにした。

実行委は6月27日に検診会場ごとのデータを公表。今回新たに、救済対象地域での居住歴の有無と、原則的に救済対象外とされる1969年12月以降生まれの人を集計した。

確定した総受診者数は1396人。水俣市など対象地域の居住歴があったのは773人で、天草下島など対象外地域は573人、69年12月以降生まれが41人、不明9人だった。

このうち手足先の感覚障害があった人は対象地域は86%(665人)、対象外地域88%(504人)と、ほぼ同様の傾向があった。69年12月生まれ以降の受診者の有所見率は85%だった。

アンケート結果も公表し、水俣病の救済手続きに申請しなかった理由について1086人が回答。「偏見・差別」が517人、「情報の欠如・不足」が377人だった。

実行委は18日、集計結果を環境省に提出。同省で会見した医師団の高岡滋医師は「検診結果は、対象外地域に大量の被害者を残していることを示している。国は7月末で申請窓口を締め切るべきではない」と指摘した。(渡辺哲也)

 
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