くまにちコム 2011年05月01日を転載

水俣病公式確認から55年 きょう犠牲者慰霊式

「公害の原点」と呼ばれる水俣病は1日、公式確認から55年を迎えた。水俣市の水俣湾埋め立て地にある「慰霊の碑」前で午後1時半から、犠牲者慰霊式がある。

公式確認は、チッソ付属病院の故細川一院長が水俣保健所に「原因不明の中枢性疾患が多発」と届け出た1956年5月1日とされる。国の判断基準による認定患者数は熊本、鹿児島両県で2271人、うち1739人が亡くなっている(3月末現在)。

一方、未認定患者の救済問題は3月、大きな節目を迎えた。水俣病特別措置法に基づき、水俣病出水の会(3782人)、水俣病被害者芦北の会(294人)、水俣病被害者獅子島の会(88人)が原因企業チッソと紛争終結の協定を締結。法廷での解決を求めてきた水俣病不知火患者会(原告数2992人)の訴訟も和解が成立した。

昨年5月に始まった特措法に基づく救済申請は、今年3月末までに4万2974件となった。またチッソは特措法に基づき事業部門を分社化、4月1日に「JNC」が営業開始した。一方で、なお係争中の水俣病訴訟もある。

慰霊式には、患者や遺族、近藤昭一環境副大臣、蒲島郁夫知事、後藤舜吉チッソ会長らが出席。患者・遺族を代表して、市立水俣病資料館語り部の緒方正実さんが祈りの言葉を述べる。(辻尚宏)