2010年4月8日、世界のコンピュータネットワークの15%が18分間切断され、アメリカ議会はこれを中国の仕業と断定した。接続の遮断のみならず、ネットを通じて盗まれた情報は中国内に送信されていたのだ。
中国は国内の情報統制のため、世界中からのあらゆる情報を遮断しているが、そのための技術は高度に発達しており、世界最高水準だといわれる。
軍事レベルにおいては、そろそろコンピュータネットワークを卒業しなければならない時期なのか。
以下、転載
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010)11月20日(土曜日)通巻3138号
サイバー戦争勃発、世界のネットワーク寸断の破壊能力を中国が持った
米国のペンタゴン中枢、ハイテク企業の機密データから情報を盗み出していた
英国のMI5といえば情報の元締め。過去三年にわたって中国からのサイバー攻撃に警告を出し続けている。
「デジタル時代には旧式のスパイ、諜報、防諜手段が変わりつつあり、公共のネット、通信網への攻撃、国家安全保障の中枢ネットワークが狙われるばかりか、国家機密がネットを通じて盗まれる。国家の軍事、行政の機密データばかりが対象ではなく、デル、マイクロソフト、ヤフーなどの先端企業の機密も狙われている」(パット・クローソン、英国の防諜専門家、英紙『テレグラフ』とのインタビュー、11月18日付け)。
中国はインド政府ならびに印度北部のダライラマ亡命政府のコンピュータに潜り込み、機密書類、データを盗む策動を続けている。防諜に神経を使っているが、ひとつの抜け道は「フェイス・ブック」などのアカウントから従来の防護装置を楽々と乗り越えて侵入した形跡がある。
3月におきた事件の被害はサイバー諜報ネットワークの「ゴストネット社」で103ヶ国、1300ものホスト・コンピュータが被害を受け、政府の機密情報が中国海南島へ送信されていたと発表されている(同テレグラフ紙)。
欧米の情報関係者は、こうしたネット上でのハイジャック行為は中国の通信大手「チャイナ・テレコム」の仕業と推測している。同社は表向き否定談話を出しているが。。。
中国はネット上のスパイ、諜報、防諜、機密情報詐取、攪乱情報、情報者の切断などで、世界最先端の技量を誇り、その手段はいずれも中国軍が策定した「超限戦」に謳われており、あらゆるハイテクを行使して、世界から機密情報を収集している。またそれらしい権威を名乗っての偽情報、偽の公共機関を粧って相手に安心して口座を開かせ、そのネット・アカウントにウィルスを送り込むなどは平気の平左。偽情報、囮情報などは『孫子の兵法』の延長線上にある。
▲中国はネットワーク寸断の破壊能力を持つ
2010年4月8日に大事件が起きた。
世界の国防関係者が震えた。この事件の意味が理解できない日本政府は中国と『友愛の海』「戦略的互恵」などと馬鹿の一つ覚えを呟き、欧米から徹底的に嗤われた。
世界のコンピュータ・ネットワークの15%が、18分間に亘って切断されたのだ。今週報告された米国議会報告書は、これを中国の仕業と断定した。報告書は「米中戦略ならびに安全保障評価小委員会」が作成したもので、「中国は世界中のインターネットの相当のレベルをコントロール出来る」と報告した。
多国のネットワークへの攻撃と自国のネットワーク防御に関して極めて洗練された技術を中国は保有するにいたり、米軍の誇る『サイバーコマンド』という指揮系統の中枢を攻撃できる能力があると推定される。
米国政府、軍中枢、国防長官オフィスならび陸海空軍と海兵隊のネットワークへの浸透も、中国政府が支援する通信企業によってなされている。グーグルによれば、人権委員会の活動のホームページ、通信網などが明らかに中国とみられるサイバーテロによって攻撃された。
他方、中国語版ウィクペディアやBBCなどには繋がらない措置もとられている。インターネットを寸断した『実績』とは、先の事件のように世界の15%のネットワークを18分間、ハイジャックしたことだ。
この意味するところは、たとえばもし台湾攻撃をミサイルで仕掛け、米軍の支援反応が18分遅れて場合、致命的な段階へ陥落することである。
ところで我が国のネットの安全性?
海保のネット、管理の杜撰さは、サイバー攻撃をうける以前の幼稚な段階である。自衛隊にサイバー防御専門班はあるが、大々的で本格的なサイバー・チームはない。