中国におけるすべては共産党が決定する。文化・経済・思想に至るまですべてを支配する。チベット仏教やカトリック教においても、中国内での代表は共産党が指定した者しか認めない。

ローマ法王として5年、カトリック教では超保守派といわれるベネディクト16世がついに中共と対峙した。20日に予定されている河北省の地方教区に、中国共産党が勝手に任命したジョセフ・グオ・ジンカイ(音訳不明)司教を認めず「こうしたローマ法王庁の承認を得ない司教の任命は不法(Illicit)との見解を表明した」という。
前法王ヨハネパウロ2世は、ソ連の崩壊からドイツ東西統一に絶大な影響を及ぼしたといわれるが、この度のベネディクト16世の声明も中共に対して大きな影響を与えることになる。中国内での共産党の決定を正面から否定したのだ。

今後の経緯を注視したい。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010)11月19日(金曜日)通巻3137号を転載

ローマ法王庁、ふたたび中国に激怒
地方司祭を中国共産党はローマに断りなく勝手に任命

ローマ法王庁と中国共産党の関係は「改善」の方向にあった。
1951年以来、中国とローマ法王庁は外交関係がないが、おたがいが香港の教会などを通じて信号を交換しあってきた。

中国国内にはいくつかの教会が存在するが、いずれも公安の監視のもとにあり、表向きの信者はリストアップされている。だから庶民は地下教会に流れる。

過去数年来、ローマ法王庁が妥協し、中国が任命した司教、司祭を追認するかたちで、要は巨大な「キリスト教徒マーケット」である。
カソリック信者およそ二千万人と推定されるが、プロテスタント系の地下教会を含めると八千万人のキリスト教信者が中国大陸には存在すると推計されている。

しかしFOXNEWS(18日付け)などによれば、「ローマ法王ベネディクト十六世は、20日に予定されている河北省の地方教区に、中国共産党が勝手に任命したジョセフ・グオ・ジンカイ(音訳不明)司教を認めず「こうしたローマ法王庁の承認を得ない司教の任命は不法(Illicit)との見解を表明した」という。

「任命権はあくまでもローマ法王庁にあり、勝手な司祭任命は宗教の自由を脅かすばかりか、両者の建設的関係を破壊しかねない」とローマ法王庁。
中国はノーベル平和賞授賞式への欠席を各国に呼びかけ、ロシア、カザフスタン、キューバなどは参加しないとしている。この時期を選ぶかのようなローマ法王庁の動きに中国はどう出るか?