「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010)11月8日(月曜日)通巻3123号 転載
中国の国勢調査はいかに杜撰か
都会に流入した農民工、官の調査に応じないのが三割
北京のマンション。管理人は地区の共産党委員会が任命する。多少は権限があるとはいえ最近はまったく事情が異なる。
百軒のマンションで、国勢調査のために調査票を出せと言っても住民の三割が応じないという事態が出来(しゅったい)している。
第一に住んでいる人と登録者が異なる。
第二に同じ部屋に、いったい何人住んでいるかが把握できない。
第三に子供が何人いるのかも答えようとしない。
中国には住民票がない。
だから戸籍の登録地で詳細をしらべるが、すでに何年も都会へ出たまま。住民業がないから追跡調査ができない。都会でくらす農民出身は、ほぼ出稼ぎだが、黒戸(戸籍のない人たち)の発見を怖れ、こどもが一人っ子政策に違反していることを怖れ、収入を調べられて追加徴税があると怖れ、ドアさえ開けないという。
貧困層ばかりか、中産階級も、調査に非協力的で、あまりにも調査の進行がすすまず国政調査員の辞任も相次いでいる(英誌エコノミスト、11月6日号)。
都会への移住者は推定で一億四千五百万人と見積もられ、「調査結果のプライバシーは守られる」と調査員が説明しても、だれも信用していない(それはそうだ、共産党を信じている庶民は殆どいませんからね)。
2000年の調査では誤差が1・81%とされ、人口は12億7000万といわれた。09年度推定人口は13億3000万人。一体全体、この国の本当の人口は誰も知らない。15億人越えているだろうが、誰も興味がないようだ。