「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010)10月21日(木曜日)通巻3107号を転載

なぜ、この時期を撰んで? クリントン元大統領が台湾を訪問
馬英九総統を表敬、国際会議場で講演を予定と表向きの理由だが

ビル・クリントン元大統領が台湾を訪問する。
表向きの訪問理由は「講演」と「総統表敬」のためとされるが、本当の目的は明らかではない。現職国務長官の夫であり、いまも民主党内では根強いファンがいる。密書を携行するか、あるいは馬英九にオバマからの内緒の伝言を伝えるのか。

ただし民主党内にはヒラリー夫人が国務長官就任の条件として夫はたとい元大統領といえども外交に容喙しないことを条件とされたので、「単なる講演旅行さ」と冷淡にみる向きもある。

ビル・クリントンは大統領を退任後、NYハーレムに事務所を設置し、裁判費用を捻出するために各地で講演活動。やめてすぐに日本にやってきた時の講演料が4000万円だった。

その後、とくに香港のファンドに招かれて何回か講演しており、数千万円とせしめるので、評判はよくない。「商売人」という評価もある。この講演料は所詮、中国のロビィストとしての役割を潜在的に負わされるから精神的負担になるだろう。

台湾にも05年2月に講演のため訪問し、わずか22時間しか滞在せず、しかし当時の民進党政権は、キリスト教団体が招待した名目で25万ドル(当時のレートで3000万円)を支払った。大統領になる前、アーカンソー知事時代には四回、訪台している。

05年のおりは、講演を聴きに来る人も入場料は台湾ドルで一万元(邦貨換算3万円)を支払わなければならなかった。

台湾外交部は「民間人の訪問である」と強調している。11月14日に台北新都心の国際会議場で講演する。

-以上、転載-