弱者に対する保護や補償の制度、予算は豊富にありながら、それを行使する末端の職員たちは「いかにしてその経費を抑えるか」を命題としている。社会補償制度に不満の声が高いのは、その内容ではなく、受けつけ、審査し、結論に至る経緯に対するものが多い。国の意図することが国民に伝わりにくい原因は、この対応の粗悪さにある。公務員改革ではその定数是正が盛り込まれているが、数の是正よりも質の向上と意義の達成が重要だ。国の制度であってもそれを行使するのは公務員ではなく民間でもよいのだ。

くまにちコム 2013年02月05日 を転載

複数例で認定基準超の水銀 水俣病特措法申請者

水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済で、1969年12月以降に生まれた申請者のうち、へその緒の水銀濃度が、国が定める胎児性・小児性水俣病の認定基準を上回っている人が複数いることが、4日分かった。

公害健康被害補償法に基づく患者認定に伴う補償は、特措法の救済より手厚い内容だが、県は水銀濃度が基準を満たすことを本人に説明していなかった。専門家から「特措法の枠組みに抑え込もうとしたのなら問題」と批判の声もある。

特措法の救済は、対象者の年代や地域を限定している。対象外となる69年12月以降に生まれた人の場合、メチル水銀による汚染を母親の毛髪やへその緒で証明しなければならない。その場合は目安として、胎児性・小児性水俣病の認定基準「小児水俣病の判断条件」を準用している。

「判断条件」が明示する救済対象は、毛髪の総水銀濃度50ppm以上か、へその緒のメチル水銀濃度1ppm以上。69年以降の出生者の場合は、さらに総合的な検討が必要としている。

県によると、69年以降の出生者の申請のうち、へその緒の水銀濃度の基準を超えたケースを複数確認。毛髪ではいなかったという。基準を上回っている申請者の判定結果は、まだ出ていない。

県水俣病保健課は「患者認定は別の課が担当しており、説明しなかった。特措法以外の選択肢があることは、これから説明する」と話している。(石貫謹也)

 
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