くまにちコム 2012年06月28日 を転載

87%に水俣病症状 住民一斉検診で集計

不知火海沿岸で水俣病一斉検診を実施した住民健康調査実行委員会(委員長・藤野糺水俣協立病院名誉院長)は27日、検診結果をまとめた。最終的な受診者数は1397人で、集計できた1394人の87%(1216人)に、水俣病と診断できる手足先や全身性の感覚障害があり、水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済の要件を満たしていたという。

特措法の申請期限は7月末。水俣市内で会見した実行委の藤野委員長は「対象外地域や対象外の年代でも症状が確認されており、被害者は万人単位で潜在している。国は締め切りを撤回すべきだ」と強調した。

過去最大規模だった今回の検診は24日、水俣市2、天草市3、鹿児島県出水市1の3市6会場で実施。集計した受診者の居住地は、八代・天草郡市407人、水俣市・芦北郡343人、出水郡市・阿久根市336人、熊本・鹿児島県外209人など。年齢は32~94歳で、平均年齢は64・1歳だった。

会場ごとの水俣病症状の割合は、出水市会場91%。水俣市2会場82~87%。特措法の対象外地域で実施された天草市3会場は85~90%で、ほぼ同水準だった。また特措法の救済対象外となる30代でも感覚障害を確認した。

医師団の高岡滋医師は「神経所見が見られた受診者の割合は、会場ごとに大差ない。特措法の対象地域の内外を問わず、汚染が広がっていることを示している」と指摘した。

実行委に参加する水俣病不知火患者会は近く、申請期限撤回を求めて環境省などと交渉する方針。(辻尚宏)

 
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