「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年6月6日通巻第3673号 を転載

こんな数字でおさまるわけはないですが。。。
中国から海外逃亡高官は18487名、不明金額は542億元(7600億円弱)

少なすぎないか、とネット世論が大騒ぎをしている。
検察当局が公表した貧官、汚職容疑者は2000年から2011年までの累計で18487名で、海外へ持ち出されたカネは542億人民元だという(『中国経済週報』、2012年22期)。

これは最高検察院と公安警察が合同で調査した数字に基づく。
北京では5月23日に関係官僚総出の検討委員会が開催され、汚職防止を徹底させることを討議したが、検察機関と党腐敗防止担当委員会、公安、外交部ならびに国際金融機関の担当者が一同に会しての会議は、2007年発足以来、これが三回目という。

会計のごまかし、マネーロンダリング手口の巧妙化、香港の子会社、英領バージン諸島の面妖なペーパーカンパニー、米国籍というファンドの実態は華僑など殆どが中国人。かくして国富を盗み出す天才たちと取り締まる当局のいたちごっこは続くが、捜査線上に政治局員ら党のトップの顔がちらつくと、それ以上の追求は難しくなり、しょせん、捜査していますよとキレイゴトを言っているのに過ぎないのだ。

2011年に中国人民銀行が作成した内部資料によれば、官僚機構、党組織並びに国有企業、国有銀行等から海外に逃亡した人間は16000名から18000名と推定されると衝撃的な数字を羅列した。
同報告書は中国から持ち逃げされた金額は8000億元(邦貨換算で11兆2000億円前後)という。
この機密報告の数字がより真実に近いのではないだろうか?

これまで公表された数字は過去に僅か三回しかない。
2001年最高人民検察院が公表した数字では海外逃亡高官が4000名、持ち出された金額は50億元。
2004年に公安部が公表した数字は海外逃亡500名、逃げた資金が700億元。
2006年にそれは8000名、700億元前後と減ったり増えたりしている。

北京大学の「清廉政治建設研究センター」の李成言・主任が推測する(博聞新聞網、12年6月4日)。「おそらく海外逃亡の高官は一万人を超え、かれらが持ち出した外貨は1兆元(14兆円)に達するだろう」。

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