水俣病患者と家族の滞在施設が完成した。
法的な手続きは解決に向けて前進したが、半世紀に及ぶ戦いの傷は深く、患者やその家族の高齢化が進んでいることから、自宅での介護の負担を軽減する目的だという。
この社会問題が残した教訓は深く、今なお継続している。

くまにちコム 2011年08月29日 を転載

水俣病患者と家族の滞在施設完成 水俣市

水俣病患者の入所施設、水俣市立明水園の敷地内に、胎児性・小児性患者と家族が一緒に滞在できる施設「ぬくもりの家潮風」が完成し29日、現地で落成式があった。

患者やその家族の高齢化が進んでいることから、自宅での介護などの負担を軽減し、同園での治療やリハビリにも活用してもらう。患者や支援団体への聞き取り調査を踏まえ、市が国、県の補助を受けて整備した。

施設は木造平屋建て、延べ床面積171平方メートル。3人部屋2室、2人部屋1室、浴室、ダイニングキッチンなどがあり、生活家電も備えている。胎児性・小児性患者と家族や、同園入所者の家族らが同時に3家族まで滞在できる。総工費は約3840万円。

滞在は1泊から1年程度までを想定。食事以外は無料。利用者は常駐する支援員の介助を受け、明水園で診察を受けたり、理学診療を受けたりできる。

また、明水園には機能訓練室を新設。これまで食堂に隣接していたリハビリなどのスペースを拡充、独立させた。延べ床面積199平方メートルで、総工費約5050万円。訓練用設備も充実させた。

落成式には環境省などから約30人が出席。宮本勝彬市長が「潮風は、水俣病患者と家族が安心して過ごせる空間。ぜひ活用してほしい」とあいさつした。(辻尚宏)

リンク
くまにちコム